FREETELの299円/月と439円/月のSIMを買ってiPhone 5sで使ってみた
先月iPhone 6sが発売されたわけだけど、自分は買ってないのでさみしい。
そんな中、ドコモのiPhone 5sを使っていた父親がiPhone 6sに機種変更するというので、使い終わったiPhone 5sを売ってもらった(下取り価格+月サポ増額キャンペーン分と同じ値段で)。
ドコモのSIMロックがかかったiPhone 5s 16GB ゴールド。これにSIMを入れて遊ぶなどして、iPhone 6sを買わないさみしさを紛らわそうと思う。
念のため書いておくと、キャリアが売ってるiPhoneには各社それぞれのSIMロックがかかっていて、そのキャリアのSIMしか入らない(入れても認識しない)。そして、現在その辺で売ってるMVNOのSIMは、ほとんどがドコモで、ほんの少しauがあり、ソフトバンクは無い。さらに、auのSIMはいろいろややこしくて、mineoは5s/5cでiOS8以降はデータ通信ができないと言っていて(6/6sはできるらしい)、UQ mobileはどの機種もiOS8以降はダメとのこと。またどの場合でもテザリングもできない。ってことで、こういうのをやりたい人はドコモのSIMを使うのがほとんどだと思う。
FREETELの299円SIM
まず最初は、月額299円から使えるSIM。
データ通信のみでSMSも通話も無し。
一般的には、最初に払う金額(プラン)を決めて、それによって月間のデータ通信量が決まるけど、このSIMの場合は使ったデータ通信量によって料金が決まる。つまり従量課金。
100MBまでは299円、1GBまでは499円、3GBまでは900円、5GBまでは1520円、8GBまでは2140円、10GBまでは2470円。最低の299円はたぶん最安だと思うし、最高でも2470円なのでこれも十分に安い。
従量課金というと怖いイメージあるけど、このSIMの場合はWebサイトでいつでも「節約モード」に切り替えることができて、節約モード中は、速度を200kbpsに制限する代わりに、データ通信量のカウントを止めることができる。つまり、普段からずっと節約モードにしていれば、月額299円で200kbpsの通信が無制限にできるSIMとして使える。
FREETELの439円SIM
そしてもう一枚、月額439円から使えるSIM。
- Amazon.co.jp: FREETEL ナノSIMカード[LTE対応・データ通信専用(SMS機能付き)] FREETEL SIM データ通信専用(SMS)N006K01: パソコン・周辺機器 ※注意
こっちはデータ通信とSMSが使える。
料金的には、簡単に言うと、上記のSIMの料金に、SMSのための月額140円が追加される感じ。
パッケージに「for iPhone/iPad」って書いてあるのは、App Storeに対する通信量をデータ通信量としてカウントしないという特殊なプランのため。しかしこのプランは別にこのSIM専用というわけでもなくて、上に書いた普通のSIMの方でもこのプランに変更することができる。なので、SIM自体は普通のものと同じで、初期状態のプランが違うだけってことなのかな、よくわかんないけど、公開されてる情報からはそんな風に読み取れる。
※注意 : これを書いてる時点では、Amazonで「for iPhone/iPad」のパッケージを扱ってなかったので、通常のパッケージのリンクを貼ってる。詳細は公式サイトでも確認できるのでそちらもどうぞ。
ちょうどドコモが最初にiPhoneを扱ってから2年経って、中古のドコモ版iPhoneが市場に大量に出回る時期ってことで、こういう売り方はアリなのかも知れない。
誤解しないよう補足
別に、SMS無しが通常パッケージで、SMS有りが「for iPhone/iPad」っていう風に決まってるわけじゃないよ、自分が今回買ったのがたまたまそういう構成だったというだけで、SMS無しのiPhone用パッケージもあるし、SMS有りの通常パッケージもある。そしてもちろんどっちも音声通話機能付きもある。
使ってみた
さっそくiPhone 5sで使ってみた。
完全初期化して、SIMが入ってないからアクティベーションできない状態のiPhone 5sに、買ってきて開封したばかり(まだ契約してない状態)のこのSIMを入れてみたら、無事にアクティベーションできた。
まあ解約したSIMでもアクティベーションはできるので、契約状態を問わずSIMカードが挿入さえされていればiPhoneのアクティベーションはできるっぽいね。
あとは、FREETELのWebサイトに会員登録して、SIMカードについてきたコードをサイトに登録する。さらにFREETELのサイトで配布されているシステムプロファイルをiPhoneにインストールすることで、APN設定が入って実際にiPhoneで通信ができるようになる。
どっちのSIMでも作業は同じ。超簡単。
速度はどうか
たまたま今月(2015年10月)は、FREETELが体験キャンペーンみたいなのをやっていて、高速通信が無料でできる。つまり、本来はデータ量に応じた従量課金的なプランなんだけど、今月は10GBまで高速通信しても一番最低の100MBのときの料金でいい(つまりApp Storeの通信は無料という機能も、どうせすべて無料なので実際には来月からスタートってこと)。
だから今月は節約モードを使う必要がない。速度テストを好きなだけやれるのはいいね。
ってことで速度を測ってみると、どちらのSIMでも、通常の高速通信では3.37〜4.85Mbps、制限モードでは0.22〜0.26Mbpsって感じだった。
高速な方が5Mbps以下しか出ないのは、まあこの場所の電波の強さや混雑具合もあるんだろうけど、FREETELの方では、今月の体験キャンペーンの影響で重くなってるので回線を臨時で増強すると発表している。まあ体験させたら重かったってのはマズいので頑張るしかない。速度を測ったのは増強の前なので、そのせいで遅いのもあるかも知れない。
節約モードの方は、結果としては200kbpsよりはちょっとだけ速く見えるけど、計測中のリアルタイムの表示を見ると、ものすごく遅いときと速いときがあって平均すると0.2kbpsを少し上回るって感じだった。実際にWebブラウズとかをしても同じ印象があって、全然表示されないときとパっと出るときがある。
従量課金なので、FREETELとしては高速通信をたくさん使ってもらいたいわけで、節約モードの品質向上にどれくらい取り組めるかわからないけど、頑張って欲しい。
とはいえ、以前ヨドバシの480円250kbpsのSIMで、実測0.75Mbpsくらいで思ったより快適だったときほどの感動はないけど、まあ200kbpsでもなんとか使えるとは思った。
SMS機能無しSIMのアンテナピクト問題
今回、SMS機能が無い299円のSIMと、SMS機能がついてる439円のSIMを試してみて、よく言われてるアンテナピクト問題が確かにあった。
電波の強さを確認するためのアンテナピクト。ここが、電波が一番弱いような表示になっている。これがSMS無しSIMをiPhoneで使う場合のアンテナピクト問題。
このように、SMSがついてる方のSIMを使うと、ちゃんと電波の強さがわかるので、この場所が本当に電波が弱いわけではない。
SMS(もしくは通話)機能がないと、アンテナピクトは出せないらしい。別にいいじゃんってのはあるけど、なんとなく気持ち悪い。SMSを使うつもりが無くて月額を少しでも安くしたいなら仕方ないとは思うけど、月140円なので気になる人はSMS有りのSIMにした方がいいかもね。
これに関連して、iOS8以降ではLTE通信が使えるようになるまでに時間がかかることがある、という問題もあるらしいんだけど、自分が試した限りでは気になるようなことはなかった。まあ気づかないだけかも知れない。
AndroidではセルスタンバイとA-GPSも問題になることがある
SMS機能の無いSIMをAndroidで使うと、さらに機種によってはセルスタンバイ問題とA-GPS問題もある。
セルスタンバイ問題ってのは、SMS機能の無いSIMを使った場合に、「セルスタンバイ」という機能がものすごくバッテリーを消費してしまうという問題。
実際、自分はヨドバシの480円SIMをXperia SXに入れて使ってるんだけど、こんな感じでセルスタンバイがバッテリーを消費していて、実際バッテリーが切れるのがすごく早い。
A-GPS問題ってのは、GPS機能の起動が遅くなるという問題。GPSは、衛星からデータを受信して色々と調整する必要があるため、本来は起動に結構時間がかかる(数分とかかかる)ものなんだけど、スマートフォンに搭載されてるA-GPSという機能は、回線から受信したデータを使って高速にその調整を行って、GPSがすぐに使えるようにしている。
そこが結構ややこしくて、よくわからないんだけど、とりあえずインターネット回線があればA-GPSが使えるケースと、SMS機能がついてるSIMじゃないといけないケースがあるっぽい。なのでGPSをちゃんと使いたいなら、SMSがついてる方が安心。
年齢認証問題
また、SMSの有無にかかわらず、MVNOには年齢認証問題がある。LINEのID検索などの機能を使う場合などに、キャリアが提供する契約者の年齢情報を使う認証があって、MVNOの回線ではこれができない。つまりLINEの一部機能などが使えない。
認証だけキャリアのSIMでやるっていう方法はあるっぽい。音声通話のできるSIM(普通のキャリアのSIMはこれ)の貸し借りは違法とかいう話もあるので、2台持ちで自分のメイン回線のSIMを使うとかならいいけど、他人のSIMを借りるのはまずいかな。
テザリングしてみた
このSIMでは(SMS有りでも無しでも)テザリングもできる。
実際にやってみたけど、まあ普通にできた。もちろん節約モードでは200kbps程度なので、速度は遅い。
だいたい、まあiPhoneから使うときと同じで、Twitterクライアントやテキスト主体のWebサイトとかはなんとか使えた。あとはテザリングでMacを使うシーンとしてありがちな、SSHでサーバーにつないでコマンドを叩くのとかもほぼできる。ただ、大量に書き込まれるログをtail -fとかすると、さすがにときどき引っかかってしまうようだった。
もちろん節約モードを解除すれば十分に快適に普通に使える。
そもそも5sが良い
このSIMの話とは別に、そもそもiPhone 5sが非常に良い。
iPhone 5からiPhone 6に機種変更して今に至るので、iPhone 5sをちゃんと使ったことはなかった。実際使ってみると、全然悪くないと感じる。
iPhone 6/6sになってから、5/5sのサイズがデザインの方が良かったと言われることが多い。しかし5/5sに変わった頃は4/4sのサイズやデザインが良かったと言われてたし、その前だって3G/3GSの丸っこいデザインの方が4/4sの角張ったデザインより良かったと言われていた。だからまあこういう話は適当に聞き流しておけばいいと思う。
そういう個人の感想みたいな話は別にしても、動作速度を見たときにiPhone 6と違いを感じないし、実際、ベンチマークしても5sと6はそんなに変わってない(6sになって爆速になったけどね。。。)。iOS9で5sが極端に遅くなったりもしていない。
機能的にも、TouchIDはついてるし、M7搭載でロック中も動きを読んでるし、カメラ性能と画面サイズくらいしか大きな違いは無さそう。まあ画面サイズは小さい方がいいとも言える(2台持ちなら特に)。
あとはApple Payが日本で始まったら、それに非対応な5sはかなりさみしいと思うけど、まあ今のところは気にしなくていい。
SoftBank系のMVNOにも期待
今回、ドコモのiPhoneが初めて2年を超えるタイミングで、現状ほとんどのMVNOはドコモなので、それなりに盛り上がると思う。
しかしSoftBankのiPhoneはもっとたくさん余ってると思うので、SoftBankのMVNOが出てきたら、またさらに盛り上がるかも知れない。今のところは謎だけど、SoftBankはドコモと同じ方式なので、auのようにiOS8以降でちゃんと使えないような問題もない気がする。
一方で、今回の6sの世代からはSIMロックを解除できるので、そっちの方面でも2年後くらいに盛り上がる期待はできる。
そして、そこまでMVNOが盛り上がる前に、大手キャリアも料金やサービスを見直すなどの大きな変化もあるかも知れない。
今のところMVNO回線をメインにする勇気は無い
MVNOの方が安いし自由なのはわかるけど、でもまだメイン回線にする気にはなれない。
例えば今まで何度かあったのは、iOSをアップデートしたら使えなくなったという話。時間差で対応したりすることもあるけど、auのiPhone 5s/5cでのMVNOについては結局未だに解決してない。
そういう問題が起きたときに、MVNOの会社はAppleに対してバグの改修をさせたり、それがバグじゃなく仕様だとしたらその仕様の詳細を教えてもらうルートすらないような気がしてる(あったらごめん)。サブ回線としてはいいんだけど(まあよくはないけど)、メイン回線でそれは困る。
上記に書いたようなアンテナピクトとかセルスタンバイとかA-GPSとか年齢認証も、ちゃんと調べないといけなかったりOSアップデートで表面化したりするので、安心して使えるとはなかなか思えない。利用中も常に情報をチェックし続けないといけない。
あとは、最新のiPhoneを2年おきに買い換えながら、通話やパケット通信の現在の利用状況から見ると、単純に大手キャリアの普通のプランでも別に高くなかったりもする。基本的には極端に使わないとか、極端に使う場合にMVNOは効果的と言えると思う。
また最新のiPhoneを発売日に買いたい場合、AppleがSIMフリー版を同時に発売してくれるかどうかがよくわからないというのも痛いところ。前回の6は出たけど、その後買えなくなったことがあった。今回の6sも発売したし、今後は大丈夫なような気もする。
それから、MVNOは電波の届くエリアについては大手キャリアの品質と同じってのはわかるけど、インターネットの速度っていう意味では各社で違う。高速通信が使い放題のところでは、みんなが使いすぎて超遅いということも起きてる。自分が使いすぎる側の場合は、制限無しで使えて、それで重くなったときは仕方ないとも言えるけど、自分がそこまで使わない側の場合は、制限なしのユーザーと同じ回線を使って巻き添えで遅くなりたくない。自分もときどき制限されることはあるけど、それは数ヶ月に1度だけで日常ってわけじゃないので、自分が使いすぎてない多くの場合は快適に使いたい(だから激しく使ってるユーザーは制限されたり、他に行ってくれると助かる)。
もちろん将来、その辺の状況は変わってくると思うし、今後のことはわからない。細かいことを気にしない割り切りと、情報収集を適度にやってれば、現状でも十分問題無いのかも知れない。心配しすぎてるだけかも知れないけど、そんな感じでまだMVNOをメインにする勇気が出ないって感じ。そして今後に期待している。